熱海 本家ときわぎの歴史

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本家 ときわぎの歴史

History of Tokiwagi

 「熱海 本家ときわぎ」は、大正7年(1918年)、当店の初代・前澤鶴吉が結婚を機に、熱海の和菓子屋として開業いたしました。(昭和24年には株式会社常盤木を設立、法人登記をいたしました。)
 当初、店舗に掲げた看板文字は、あまりにも漢字の書体が難しく、屋号が大変読みづらかったそうです。その為、初代鶴吉が、晩年、「屋号はわかりやすいことが大切と考え、看板を平仮名で「ときわぎ」と作り変えました。そのおかげで、親しみやすく、身近な熱海の町の菓子屋として愛され、現在に至ります。
 大正、昭和、平成と、お客様のご愛顧おかげで、三つの時代を歩ませて頂いておりますが、特に昭和時代は、日本を代表する経済界、文学界、美術界など、多方面でご活躍のお客様にも、お引き立てを頂きました。初代鶴吉は、なかでも横山大観先生と親しくさせて頂いたそうで、しばしば二人は当店の二階に上がり、長らく話し込んでいることが多かったと、鶴吉の娘の愛子、孝子から伝え聞いております。
 当店は、初代鶴吉が、娘婿(次女愛子の夫)である重夫(二代目)と、次いで孫婿(孫娘咏子の夫)章治(三代目)との間で養子縁組を行い、代々店主として、当店の看板を守り続けています。
 「熱海 本家ときわぎ」では、これからも誠心誠意、心をこめて、初代鶴吉から受け継いだ伝統の味を守り続けていく所存です。どうぞ、これからも変わらぬご支援、お引き立てを賜りますよう、何卒よろしくお願いを申し上げます。

昭和23年10月 熱海市主催読書会 当店にて撮影。前列左から2人目、横山大観氏。3人目、徳富蘇峰氏。4人目、佐佐木信綱氏。当店初代は、後列左から7人目。

左側前から、徳富蘇峰氏。真ん中、横山大観氏。奥、佐佐木信綱氏。当時、日本を代表する文化人の先生方に、お集まり頂いた、当店の貴重な資料です。

熱海 本家 ときわぎの歴史
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 大正7年(1918年)の創業当時、当店は市内の本町通りで営業を開始し、そののち、ご縁あって、現在の店舗を構える銀座の四つ角に移転致しました。その後、昭和19年(太平洋戦争中)の熱海本町火災で店舗を消失してしまったため、翌年の昭和20年、太平洋戦争の終戦直後ではありましたが、京都から宮大工さんをお招きし、約2年半の歳月をかけて、昭和22年後半に現在の宮造りの店舗が完成致しました。
 当時、熟練の技術をもった宮大工さんが、はるばる熱海までお越し頂けたのは、熱海が日本有数の温泉地であり、環境が良いこと、そして、初代鶴吉の妻まさの実家が農家であったため、食べる物には困らない環境だったから、と伝えられております。
 当時を振り返ると、戦後まもない時期にも関わらず、宮造りの店舗を建築することは、だいそれた計画でありました。しかしながら、当店の菩提寺から優秀な宮大工さんをご紹介いただいた事で、建築が可能となり、建設中の宮大工さんの滞在先は、ご近所の旅館さんでありました。このように、当店舗は、地元の皆様のお力添えなしには、完成し得なかったものであります。
 しかし、新店舗が完成して、僅か二年後の昭和25年、熱海大火が発生致しました。新店舗で営業を再開したばかりの当店は、家族一同、絶望的な想いを抱えながら、何はともあれ命が大事と、取るものもとりあえず、身一つで、山側に逃げ込みました。激しい炎は当店の目の前まで迫ってきたそうですが、当店の目の前で突然風向きが変わり、新店舗に火が燃え移ることはなく、奇跡的に焼失という難を逃れました。
 そして、火災が落ち着いた後、一家が帰宅すると、そこには、熱海に駐屯していた連合軍の関係者が、たくさんいたそうです。初代鶴吉の娘の愛子は、土足の外国兵が大勢いて、たいそう驚いたそうですが、彼らは店舗の二階に上り、いざ、お店に火が燃え移った時には、その火を消すためにと、水の入ったバケツをもって、お店を守っていてくださいました。当店を大火から救ってくださった連合軍の多くは、熱海湾沖に停泊していた軍艦に滞在されていた、と伝え聞いております。
 このように、当店は焼失の危機にさらされながらも、たくさんの方のお力を借りて、その危機を乗り越え、現在も営業を続けております。建屋は宮造りですので、店内の天井は、折上小組格天井といい、宮大工の棟梁が尺を使わず、長年の勘のみでカンナを使いこなした、技の集大成であり、その美しいカーブの様子は一見の価値がございます。また、他にも雀や蝶の釘隠、当時では珍しいシャンデリア、鬼瓦等、70年前から一度も手を加えることなく、当時のままの姿を保っております。
 当店にお越しの際には、お菓子をお求め頂くと同時に、昭和の木造建築の歴史も、ぜひお楽しみ下さい。
 今では、宮造り建築の修復を引き受けてくださる宮大工さんが、見つかりにくくなりましたが、未来に残してゆく建築物としても、店舗の安全点検をしながら、「熱海 本家ときわぎ」を守っていく所存でございます。

足場建設:昭和20年

店舗完成:昭和23年

店舗:昭和38年頃

小組格天井

店内の様子

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静岡県熱海市銀座町14番1号

 9:30~17:30 水・木定休(祝日・花火大会当日は営業)